<ジメチルエーテルの知識>
2007/12/01 日記<ジメチルエーテル>
ジメチルエーテル
ジメチルエーテルはエーテル (化学)|エーテルの一種で最も単純なもの。DME と略称され、メトキシメタンとも呼ばれる。低温でメタノールを硫酸で脱水すると得られる。組成式は C2H6O、示性式は CH3OCH3 で、分子量は 46.07 である。水素結合を形成するものの、分子の幾何学的構造により、水素結合の強度が弱いため、沸点や融点は低いが毒性はそれほど高くはない。
用途
スプレー
液化石油ガス|LPGより引火性が低く、ドライヤー使用時など引火しやすい環境で使うスプレーに使われる。ほぼ無臭のものが多いフロン類と違い、やや臭いがあるが、あまり気にならない範囲であるのでエアダスターなどにも使用される。
燃料
セタン価が高くディーゼルエンジン向きであり、酸素含有率が高く黒煙が出ないため、環境負荷の少ないディーゼル燃料として期待されている。代替エネルギーを使う低公害車のエンジンである。ディーゼル燃料として利用するに際して、開発当初は15MPaの噴射圧力を一定に保つ方式が採用された。また、DMEは常温・常圧では気体であるため、LPG燃料などと同様に潤滑性や粘性で軽油に劣る。そのため潤滑性向上剤(主として脂肪酸)を添加するが、粘性向上剤に適切なものは見つかっていないこともあり、低粘性が原因で発生するリーク(液漏れ)対策が行われている。DMEを燃料としたディーゼルエンジンでの全負荷性能試験で、軽油を燃料とする場合に比べて以下のような特徴が知られている。
その後の技術改良の動向
高速回転域における出力減退の改善が進められている。また、様々な部品の採用に当たっては個別の研究成果と将来の大量生産を念頭において、軽油との共通性を確保することが検討されている。噴射孔の数や口径の研究、全負荷性能試験が行われ、一律の条件下では出力の低下を起こすことなどがわかっている。噴射圧と噴射時間を運転条件の中で変化させることによって適切な出力が確保されることが研究されている。一方、DME燃料自動車に必要とされた燃料の冷却や自動車運転休止中の燃料の配管中からの排除(パージ)なども、その必要性の有無についての検討がなされている。
批判
液化DMEは圧縮性の高い燃料であり、入り口から加えた圧力が出口にそのまま伝わらないため、微妙な燃料噴射が実現できず、NOx低減対策や出力調整などできない。また、EGRを実行することは、エンジンの燃焼効率を減少させるため好ましくない。
批判に対する反論
圧縮性の高い(弾性率が低い)燃料であることは事実である。しかし、15Mpaレベルでの研究開発ではそのことは指摘されたが、その後の高圧噴射を実現する中で、そのことのマイナス面での影響は指摘される状況にはない。EGRを実行することでの効率低下は事実であるが、多かれ少なかれガソリン車や軽油ディーゼル車でも行っていることであり、DMEだけがことさら批判される事柄ではない。むしろ、PMやスモークを発生しないために、DPF(ディーゼル微粒子除去装置 ) を装着しないことで排気圧力が減少しないことによる効率向上は自動車にとって十分な恩恵であると考えられている。また、GTL軽油を利用する際に、ディーゼルエンジン圧縮比を13分の1程度に落とすことが実証実験されているというが、結果として低速トルクを犠牲にしている。GTL軽油は天然ガスから合成される軽油様燃料で、セタン価が70以上あり、そのままでは軽油代替としての利用は問題がある。ただし、硫黄を含まない燃料であることは優れた面である。また、多環芳香族炭化水素 (PAH) を含まないために、PMの発生が少なくなる傾向にあるが、完全ではない。このことは、ディーゼルエンジンの特徴である低速トルクを減じることであり、このことから小型トラックや乗用車向きの燃料との評価がある。軽油を中心に実行されてきたディーゼルエンジンに対して、軽油代替燃料として、GTL軽油とDMEを比較した場合、大型トラックやバスなどの必須条件である低速トルクを軽油以上に発揮できるDMEが、軽油代替燃料としては優れた面であるとされる。
燃料電池
直接型DME燃料電池は、ダイレクトジメチルエーテル燃料電池 (DDFC) とも呼ばれ、水素ガスを取り出す改質器を必要としない固体高分子形燃料電池である。同じく改質器が不要なDMFCの燃料であるメタノールより毒性が低く、安全性が高い燃料電池として期待されている。
脱水剤
電力中央研究所が石炭や汚泥といった高水分の物質に、液化ジメチルエーテルを脱水剤として接触させ、水分を抜き取り、石炭や汚泥を乾燥させる技術の開発を行っている。公式発表によれば、圧縮性の高い物性を逆手にとって、ジメチルエーテルの凝縮と蒸発を少ないエネルギーで繰り返すことで、従来の乾燥技術の半分のエネルギーで脱水が可能とのことである。また汚泥に適用すると脱臭もでき、未利用エネルギーを利用可能にする技術として期待されている。
大規模製造
200億円を投資して釧路市に建設されたDME製造のための大規模実証プラント(日産100t)は引受先がないため2007年3月に破棄され、解体された。当初引受希望者にはプラント設備が無償で譲渡予定であった。しかし、中華人民共和国では、石炭資源が豊富であるものの、液体燃料、気体燃料資源に乏しく、また近年の急激な経済成長に伴う、液体燃料、気体燃料の需要の増加、および世界的な燃料価格の高騰といった事情により、石炭から本格的な製造がなされている。中華人民共和国内での価格はLPGを下回っており、急速にLPGからの転換が進んでいる。現在では100万t/年未満のスケールのプラントは低効率であるとして、現存設備の廃止、および今後の建造の禁止が定められている。既に、300万t/年のプラントの存在が明らかになっており、今後は1000万t/年の規模のプラントの建造も視野に入っている。日本企業では、主に東洋エンジニアリングが中華人民共和国内市場に参入している。また日本国内で石油残渣(重油)の産業用は都市ガスに押され、減少して在庫が増加する一方である。ジメチルエーテルは石油残渣や製鉄所の副生ガスからも製造可能であり、日本国内のコンビナートにジメチルエーテル製造プラントが建設されることに期待が寄せられている。国内でジメチルエーテルのプラントを建設すれば、産ガス国のLPガス国際価格の一方的な値上げや供給削減の抑止力につながり、エネルギーの安全保障に合致するのである。また国内で大量生産実現すればLPGや灯油より大幅に安価が実現が可能にする。
外部リンク
DME普及促進センター
日本DMEフォーラム
JFEホールディングス株式会社
DME自動車普及推進委員会
九州DME研究会
東洋エンジニアリング株式会社
財団法人電力中央研究所
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